和処・ふじ

 

“きもの”あれこれ− 黒紋付 くろもんつき



● 黒紋付について

明治維新以後、裃(かみしも)が廃止されてから紋付が
礼服となり、長着・羽織に家紋をつけた和服の総称です。
抱き紋を加えた五つ紋のきものを最も正式な礼装とし、
順に三つ紋・一つ紋となります。

現在では、お葬式の時に着る場合が多いためか黒紋付を
喪服として考えていらっしゃる方も多い様ですが、昔は
結婚式も黒紋付でしたし、嫁入り道具として着物の中で
最初に作られていました。

喪服とは黒紋付の弔事での着方、即ち「喪服姿」の事で
「喪服」と言う商品はもともとありません。
黒紋付は、喪服姿以外にも帯を変えることによって冠婚
葬祭それぞれに着ることの出来る格調高い着物です。
例えば宝塚の卒業式の黒紋付に袴姿、踊りや三味線など
邦楽関係の方々の正装と、黒紋付は様々なバリエーション
を持っています。
地方によっては、黒紋付を着て厄払いをしたり、卒業式・
成人式に出席する方もいるようです。
女性は19歳が厄年にあたるのと、ちょうど自動車の免許を
取得する時期と重なるので自動車のお守りとして作られる
方もいらっしゃるようですね。

● お葬式での和洋スタイル

お葬式に参列するとき、洋装のブラックフォーマルの方も
多いようですが本来、葬儀では参列者が肌を見せることは
「死者への冒涜」であり海外ではロングスカートに長袖、
手袋、ヴェールといった着姿で肌の露出を防いでいます。

※洋画の葬儀シーンをご覧になればおわかりですね。

つまり外国人から見ると日本女性のブラックフォーマル
はなんとも奇異に見える訳です。
洋服・和服の礼装どちらであっても、きちんと着こなした
いですね。

● 黒紋付の必要性

黒紋付の着方に「喪服姿」がありますが、あってほしく
ないことですが、人生に別れは避けることのできない
ことです。
若い人が弔事できものを着る機会は少ないと思いますが、
お嫁にいってから揃えるよりも、何事もないお嫁入り前に
黒紋付だけでも早めに揃えておいたほうが良いでしょう。
そのほうが何かあった時慌てて揃える必要もなく、親族の
方々に気を遣う優しい心の表れですね。

● 黒紋付を揃える時期

家族全員元気な早い時期が黒紋付の揃え時です。生地、
織染等の品質を考慮してそろえてください。
いつか揃えようと考えているうちに誰かが病気になったり、
お年寄りに気を使ったりで、なかなか揃える事が出来なく
なってきます。
黒紋付は「揃えると良縁が早く訪れる」と言われており、
早く揃える事に越したことはありません。

● 季節に合わせた着こなしを

お祝い事などは予定することが出来ますが、不祝儀に
ついては予定が立たないの普通です。
それだけに当然季節も関係ありません。
真夏に袷(あわせ)の着物しかないのでは、いざと言う
ときに困ります。備えあれば憂いなしですね。

● 「紋」を与えることの重要性とは?

日本の家々には、先祖代々受け継がれる「家紋」があり
ます。特に女性にその家の紋を与えることは、お嬢様を
一人前の大人の女性として自覚させると共に、世間に対
してお嬢様を披露めると言う意味もあります。
これはお嬢様の良縁と自立心を願う親心であり、紋を与
えることの重要性もそこにあります。

※紋には染抜き・貼付け紋・縫い紋などの方法による
種類があり染抜き紋が正式で、以下略式となります。 


● 黒紋付をお求めの際は

黒紋付は生地と染めの良し悪しが目立つのでお求めの際は
良い品を選びましょう。

ご存知のように葬儀の参列者の殆どが黒一色です。
それだけに他人の黒と比較されやすく、赤茶けたような
黒、白っぽい黒など同じ黒でも染めの良し悪しが一目瞭然
にわかります。
黒染の歴史は大変古く、橡染(つるばみぞめ)、檳椰子染
(びんろうじぞめ)、憲法染(けんぽうぞめ)など植物に
よる染色を何度も繰り返し、深みのある黒を求めて試行
錯誤されてきました。
そして、現代は化学染料である染料黒へと移行していき、
なかでも京都の黒染は染色技術の中でも素晴らしく京黒紋
付染の技術・技法は、「伝統工芸」として受け継がれ、今
もなお気品ある黒紋付を生み出しています。 

ひとくちに化学染料と言っても、数多くの染料を配合し
時間や温度、配合の設定なども余念がなく、何度何度も
繰り返し納得のいく黒を完成させるのです。

黒紋付をお求めになるときは安いお買い物ではありません
ので値段に惑わされずに品質・染めをよく吟味した上でお
選びになることを強くお勧めいたします。

※遠方への婚礼の準備として持参する時は、嫁ぎ先の習慣
なども事前に聞いておくことも良いでしょう。

 

“きもの”あれこれ− 長襦袢 ながじゅばん
袖口や振りからみえる小さな色で利かせます。

  袖口や振りからチラリと見える襦袢の色や柄はきものの美しさ
を引き出す要素のひとつと、着る人のほのかな色気も感じさせる
きものならではの隠し味なのです。
  長襦袢は本来、肌襦袢、裾よけの上に着て形を整え、きものの
汚れを防ぐ役目を果たすものですが、色や柄とのバランスにも品
がなくてはならないものです。

白無地から小紋・絞りまで、きものの格に合わせて選びましょう。
きものと襦袢の色を合わせるためにいくつかの基本を紹介します。

● 同色系濃淡
  きものの地色と同色系の濃淡で合わせる方法は、一番無難で落
ち着いた感じになります。品がよい組み合わせなので、訪問着や
附け下げなどフォーマルなきものをおとなしくまとめたい時に使
います。

● 反対色
  濃い色どうしの反対色は一つ間違えると下品になりますが、組
み合わせのセンスがよければ、とても個性的で縞*1や絣*2などの
カジュアルなきものに合わせると効果的です。

● 中間色
  中間色は昔から長襦袢の色として親しまれてきました。例えば、
淡い朱・藤色・浅葱(あさぎ)・山吹・萌黄などの明るい色は長
襦袢の代表的な色です。澄んだ、優しい女性らしい色ということ
で好まれてきたようです。

● 紅色
  振袖や訪問着に合わせて可愛らしく着こせる色ですが、30歳
を超えると粋にも野暮にもなる色です。紬や御召などの地色の濃
いきものに合わせるの無難でしょう。

● 長襦袢の柄
  麻の葉*3・小桜・むじな菊・市松などの江戸小紋を中心にした
小さな柄なら、どんなきものにも合わせやすく重宝します。
カジュアル向きには、大ぶりな柄の襦袢や色の濃い襦袢もよく合
います。

● 絞りの長襦袢
  白地に赤、紫地に白、白地に藍と、色や柄がとぎれる絞りの長
襦袢は可愛らしさと易しさを表現し、若い人には訪問着に、年を
とるにつれて普段着にあわせます。